耐震とは字のごとく地震に耐えられること、地震に強いことであり、主に構造物・建築物などの性能について表される言葉です。日本は世界でも有数の地震国であり過去にも大きな地震による災害に見舞われてきました。そこで災害による教訓を元に地震に強い建物にするために今ではいろいろな対策がとられるようになってきました。地震対策として建物に講ずる対策としては耐震のほかに免震とか制震もありますが、ここでは木造軸組工法で一般的な耐震について説明いたします。
〜耐震の歴史〜
古くの建物には地震に対しての対策はお粗末なものでした。いわゆる「筋違(すじかい)」とよばれる斜めにいれる材料は無かったのです。
そもそも
筋違の技術は関東大震災(1923年)の少し前からドイツ人の建築技術者によって
採用され始めました。そして関東大震災の時倒壊しなかった建物が筋違を採用し
てたので、その後木造軸組に於いての筋違の重要性が高まり、震災の翌年には市街地建築物法(建築基準法の前進)の大改正により、木造建物には筋違という規定がなされました。
そして昭和23年の福井地震を契機に昭和25年建築基準法が公布され、床面積に応じて筋違を入れるという「壁量規定」が定められました。その後耐震に関する大きな改正はなく、平成7年1月17日、淡路島北部を震源とするマグニチュード7.2の阪神淡路大震災を契機に大きく見直されました。
〜ひとり言・・・いつの時代にも震災だけでなく人が犠牲にならないと変わらない法治国家。〜
〜筋違のしくみ〜
筋違を入れることによって強くなる理由は簡単ですよね。四角形と三角形を考えると横から力を加えると四角形は簡単に変形しますよね。ですから三角形のほうが強いわけで、筋違を入れることによって三角形をつくるわけです。

〜耐震の昨今〜
関東大震災直後の規定では、筋違さえ入れれば丈夫になるという程度のことでした。しかし、今では阪神淡路大震災の教訓を生かし、法改正はされても「先進の家つくり」では建築基準法は最低のレベルととらえ、いろいろな手法が取られています。工法そのものが耐震については優れているといわれる2×4工法やパネル工法もありますが木造軸組工法について取り上げてみます。
| 耐震対策 |
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地盤改良・耐震基礎の強化 |
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さらなる耐震金物の採用 |
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木造軸組+耐震面材の採用 |
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剛床パネルの採用 |
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軸組金具工法の採用 |
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伝統工法(差鴨居等)の採用 |
平成12年の法改正により「壁量計算」「壁配置のバランスのチェック」「床剛性」が義務化されました。耐震金物をいくら多用しても壁のバランスが悪くては、筋違の効果は期待できません。さらに小屋裏裏を物置等に利用する場合は、その床面積も算定に入れることになりました。
壁のバランスについては偏心率がとくに問題になります。偏心率を算定しその数値が小さければちいさいほどバランスは良いことになります。一つの基準に0.3以下という数値がありますが、できることなら0.1以下にしたいものであり、ゼロに近ければさらにバランスが良い建物となります。
ところで偏心率とは?
地震力は下図のようにその階の重心(建物全体の重さの中心)に作用します。また地震力に抵抗してくれる耐力壁の中心を剛心といいます。この重心と剛心が一致していれば建物はねじれを起こさないが、ずれていると水平方向に変形し、剛心周りにねじれを起こします。その時に建物の隅部等に大きな力が加わり、限界を超えたときに大きく損傷さらには崩壊につながります。この「ねじれ」の生じやすさを表す指標のことを偏心率といいます。そしてその数値が大きいほど偏り(偏心)による影響が大きいといえます。

以上のように偏心率を小さくするためには耐力壁をいかにバランス良くいれるかが大きなポイントになります。ですからいくら沢山の筋違を入れても偏りが大きくては建物は強くなりません。反対に弱くなってしまいます。また地震力は2階建ての場合まず壁・柱材が力を受け2階の床面に伝わります。ですから2階の床面の剛性も重要なポイントになります。柱から伝わってきた力に耐えうるだけの強度が必要になります。
つづく